「お似合いですね♪」はニコニコして言おう!
アパレルや化粧品のように、身につける商品を扱っている販売員の方の中には、次のような悩みをお持ちの方がとても多いです。
「わたしはお客様に『お似合いですね♪』が言えないんです。だって似合ってないから……」。
お客様に気持ち良く「お似合いですね♪」が言えないとのことです。
確かに私もその気持ちはよく理解できます。似合っていないのに「お似合いですね♪」と伝えてしまったらウソになってしまいますから。
しかし、結論から言いますと、販売員としてはそれではいけません。
なぜなら、自ら売れる可能性を低くしているからです。
しかも、その「似合っていない……」という感情が販売員の顔に出てしまっていたら、確実にお客様へ伝わってしまいます。
それはそれでとても失礼な接客になってしまいます。
販売員は、どんなお客様に対しても、堂々とニコニコしながら「お似合いです♪」と一声をかけてあげることが必要です。
これは接客販売の極意でもあります。
あなたの意見なんてどうでもいいからっ!
「すごくお似合いです♪」。
今後はこの一声をお客様にどんどん伝えていきましょう。
たとえその商品をあなたが「似合っていない……」と感じていたとしてもです。
その理由は、お客様にとって販売員の個人的な意見はどうでもいいと言えばどうでもいいと言えるからです。
「ん? なぜわたしの意見がどうでもいいの? そんなはずはないでしょう?」。
どうして販売員の個人的な意見がどうでもいいと言えるのかについて、次のような場面をイメージしていただくと理解しやすいかもしれません。
■例
あなたのお客様がある商品を試されました。
あなたは「似合っていないな……」と感じたとします。
一方、あなたの接客を遠目で見ている先輩や同僚は「似合ってる♪」と感じました。
さて、この場合はどちらが正しいのでしょうか?
もちろんこの逆もあります。
あなたは「似合ってるな♪」と感じていたのに、あとで先輩や同僚から、
「なんであの商品をおすすめしたの? 似合ってなかったよ~」
と言われたとします。
さて、この場合もどちらが正しいのでしょうか?
ここから分かることは、似合っている、似合っていないについては正解がないということです。
ということは、それなら視点を変えて、この場面ではお客様の気分を良くしてさしあげるチャンスと考えるべきです。
「お似合いです♪」。
この一声をかけてあげるだけでお客様も気分がよくなります。
それに全員ではありませんが、お客様の中には次のような考えをもたれている方も多くいらっしゃいます。
「どうでもいいよ! あなたの意見なんて。私が気に入って買うんだから」。
「私が不安に感じたら的確にアドバイスしてほしい。それ以外はせっかく欲しいと思っていたのに気分が悪くなるから真面目なアドバイスなんていらない!」。
つまりは、販売員はどんなお客様に対してもニコニコしながら「お似合いです♪」と一声かけてあげたほうが良いということです。
お世辞も大切
「お似合いです♪」。
お客様の中にはこの言葉を販売員から言われることによって自信を持たれる方もいらっしゃいます。
お世辞といえばお世辞ですね。
ただ、とてもポジティブなお世辞です。
それは次のような例と同じです。
■例
街コンの場面をイメージしていただけますでしょうか。
このとき、男性が女性に対して、
「かわいいね♪」。
「失礼ですが年齢は24、25歳くらいですか♪ えっ! 29歳!? 失礼しました。……見えない♪」。
「落ち着いていて、とても上品ですね♪」。
これらはお世辞と言えばお世辞ですが、言われて気分を害する女性はほぼいません。
また、男性が女性へこれらをさりげなく一声かけてあげることはマナーでもあります。
(あいさつと同じですね)。
女性は男性にさりげなくそう言われることでお世辞とわかっていても嬉しくなるものです。
中にはその言葉が本当に自信になる女性もいらっしゃることでしょう。
さて、それではお世辞は言いたくないという信念をもった男性がいたらどうなるでしょうか?
「失礼ですが、あなたは29歳、いや30歳ですか?」。
こうやって書いているだけで……恐ろしくなります。
こんな男性がいたら最悪ですよね。
あと、明らかにおしゃれをしてきている女性に対し、お世辞を言いたくないので、そこに触れずに何も言わない男性も最悪です。
「(そのベージュのブラウス、おばあさんの下着みたい……)あっ食べ物は何を注文しますか?」。
沈黙も気の利かないコミュニケーションですよね。
話を戻します。
要するに販売員が口にする「お似合いですよ♪」という一声は、マナーでもあるわけです。
お客様もさりげなくそう言われたらリップサービスが入っていると分かっていながらも喜ばれます。
したがいまして、販売員はどんどん、
「お似合いです♪」
と一声かけてあげたほうが良いのですね。
そうやってお客様の気分を良くしてあげて、売れる可能性を高めていくことが大切になります。
本当に似合っていなければ、ほかの商品をご提案すればいいだけ
さすがに本当に「似合ってないな」と感じてしまう場合はどうしたらいいのでしょうか?
実はその場合の接客も簡単です。
ほかの商品を提案してあげるだけで解決します。
ですから、まずはニコニコ笑顔で、
「お似合いですよ♪」
と一声をかけます。
そして販売員が、
「お客様、あとこちらの商品も試されませんか♪ わたし個人的にはこちらのほうがお客様にはもっとお似合いなるのではと思います♪」
と、楽しそうに伝えていけばいいのです。
それでもお客様が「似合ってない商品」を選ばれるのなら、それはお客様がお金を出してまで欲しかったモノです。
ぜひ気持ちよく買って帰っていただきましょう。
反対に、販売員が新たに提案した商品を買われたのなら、その販売員のスーパーセールスになります。
素晴らしい接客になったのではないでしょうか。
「お似合いです♪」をさりげなく言えるようになるために、日頃から練習しておきましょう!
このような言葉を口にすることが照れくさくてできないという方もいらっしゃると思います。
そこで、ぜひ日頃から褒め言葉を口にする練習をしておかれることをおすすめします。
もしあなたがご実家で暮らしているのなら、ご両親の今日の服装やヘアスタイル、メイクなどについて「似合ってる♪」と褒めてみましょう。
もしあなたがご家庭をもたれているようでしたら、あなたのパートナーの服装やヘアスタイル、メイクなどについて「似合ってるね♪」と伝えてあげましょう。
もちろん、あなたの大切なお子さまも褒めてあげてください。
お子さまの性格、お気に入りの洋服や靴、彼らのヘアスタイルでもかまいません。
どんどんさりげなく褒めてあげましょう。
そうやって身内に練習台になってもらいましょう。
「かっこいいね♪」。
「かわいいね♪」。
その人が喜びそうなフレーズをさりげなくポンッと口にする練習をしていきましょう。
えっ? 恥ずかしい? 照れくさい?
私はこんなに素敵な言葉をかけてあげられないなんて、寂しいことだと感じます。
たまに、
「えっ! 『愛してるよ』を妻にですか? 言えませんよそんな恥ずかしいこと。(照)」
と、真剣に照れくさそうにされている男性がいらっしゃいます。
そして、本当にそのような大切な言葉を何年間も伝えていないようなのです。
私はいつもそういう話を聞きながら、
「あらら……。奥様はさみしいだろうな……」
と、感じてしまっています。
なぜなら、それを言葉にして伝えてあげるだけで奥様は絶対に喜ばれることが分かっているからです。
(もちろん夫婦関係が健全な方々に限りますが)。
こういう大切な言葉は誰でも言われたい欲求があります。
その欲求を恥ずかしいからと叶えてあげられない寂しさ……。
コミュニケーション能力に関係していますね。
話しが少しそれました。
戻します。
今回の内容をまとめますと、お客様に、
「お似合いです♪」と一声をかけることは、そのお客様を喜ばせたり、自信を持つきっかけを与えてあげたりすることができる素敵な言葉だということです。
どんなお客様でも褒められたい欲求がありますので、それを叶えてあげられる言葉です。
したがいまして、販売員はどんどん笑顔でさりげなく「お似合いです♪」と、お客様に伝えていきましょう。
あなたの接客がより円満にポジティブに進んでいくことになると思います。
そして、それが長期的な販売実績につながっていくことになります。
この記事があなたの悩みの解決のきっかけになれたら嬉しく思います。
以上、「私はお客様に「お似合いです♪」が言えないんです……」でした。
ありがとうございました。
一二 三四朗(ヒフ ミシロウ)
※接客販売は心理学を知っておかれるともっと楽に売れるようになります。
→→ メラビアンの法則の使い方