ファーストアプローチ(声かけ)が上手くなるには?| 接客販売の基本

売れるファーストアプローチとは?

どうやったらファーストアプローチがうまくなるのでしょうか? そして、どうやったらもっともっと売れるようになるのでしょうか? このテーマについて考えることは、販売員として高い実績を出していくためにとても大切になります。そこで今回は、「どんなファーストアプローチ(声かけ)をすると売れるようになるのか?」。このことについて詳しくご紹介していきたいと思います。

マネしないで! 売れなくなってしまうファーストアプローチ

この記事では圧倒的に売れるようになるファーストアプローチの方法をご紹介してまいりますが、ただその前に、まずは「売れなくなってしまうファーストアプローチ」というものがありますので、そちらを先にご紹介いたします。

接客セールスで売れなくなってしまうファーストアプローチとは「商品の話題で声をかけてしまう」というものです。お客様が手にとった商品(視線を送っている商品)を話題にしながらアプローチをすることが売れなくさせてしまいます。

「えっ!? とくに問題なさそうなファーストアプローチじゃない?」と思われるかもしれません。しかし、売れなくて悩んでおられる販売員の方の多くは商品の話題で声をかけておられます。なぜなら、上司にそう教わったからです。先輩にそう教わったからです。もちろんお声かけをするタイミングは良いのですが、お客様が手にとっている(視線を送っている)商品の話題でアプローチしてしまわれることが問題なのです。なぜなら、そこには「一貫性(いっかんせい)の原理」という心理法則が働くからです(「一貫性の原理」についての詳しい解説は→ フットインザドア(一貫性の原理)の実験データ| 販売心理学)。一貫性の原理が働いてしまうと、お客様は声をかけてきた販売員から逃げ出したくなってしまいます。

下記に例を挙げながらその心理状態をご理解いただけたらと思います。

例: 私が「カジュアルシャツでも買おうかな……?」と、セレクトショップに入ったとします。さて、このとき私はなにげなくカジュアルシャツに手を伸ばしました。すると、そのタイミングで販売員の方が声をかけてこられました。私は何か反応しなければならないと考え、「そ…そうですね。いいですね♪」「そうなんですか♪ だからデザインがイイんですね♪」と、とっさに返事をしてしまいました。なぜなら、私は販売員の方に「冷たい人」と思われたくなかったからです。だから好反応をしてしまいました。

実は、私のこの好反応のせいで売れなくなってしまうのです。私は好反応をしてしまったことにより、販売員の方に「この商品に関心があります」と伝えてしまったことになるのです。そのせいで私は一貫性の原理に支配されてしまうようになります。

「あっ! 今日はこの商品を買わないといけなくなるかもしれない……。何か買わないといけなくなるかもしれない……」と、自動的にプレッシャーを感じはじめるようになるのです(あなたもそんなご経験が1度はあるのではないでしょうか?)。「関心があって入店した」→「店員さんへカジュアルシャツに『関心がある』と伝えた」→「それなら買うだろう」。こんな一貫した流れを無意識レベルに感じてしまうのです(この流れは買物として一貫しています)。

そしてもうひとつ。私たちは他人に、「一貫性のない人と思われたくない」という心理を持っています。嘘つきと思われたくない心理とも表現できます。言ってることとやっていることがバラバラな自分を人に見せたくないのです。これらの心理が働き、私は勝手にプレッシャーを感じはじめてしまうわけです。しかし、もちろん私はまだ買う買わないについて何も考えていません(入店して間もないですし)。そんな情報不足のままで買い物をすることは避けなければなりませんから、落ち着くためにも一旦退店したくなるのです。または「とにかくよく考えろ! 必要以上に買わないようにしなきゃ!」と警戒心が高まってしまうのです。販売員の方からすると、お客様がこんな心理状態なときに売るなんて難易度が高すぎます。だから、がんばってクロージングをかけても売れないのです。

人にはこのような心理が働いてしまうということをしっかりと理解されておくことが大切になります。そして、なによりもお客様をそんな心理にさせないファーストアプローチをしていかなければなりません。

ファーストアプローチをしたときに、お客様が冷たい態度をとる心理

ちなみに、私が販売員の方に冷たい反応をしてしまうパターンもあると思います。そんなときのお客様の心理はどうなっているのでしょうか?

私はカジュアルシャツを手にしたタイミングで販売員の方にファーストアプローチを受けました。

「あぁ……。大丈夫です」。

冷たい態度で返しました(現場ではこのような反応をされるお客様によく出会うと思います)。このときの私の心理状態は最悪と言えます。なぜなら、「あなたとは商品の話はしたくない」と伝えたことになるからです。そのように一貫性の原理が働きます。したがいまして、私はファーストアプローチをしてきた販売員の方を避けるようになります。そして、本当に気になる商品があったとしても関心があるそぶりを見せないようにします(急に調子よく「すいませーん♪」とやれば「こいつは都合いいヤツだな」と思われるかもしれないからです)。ということで、「まぁ、今日はいいや」と退店します。または「さっきの販売員さん以外で誰かいないかな……?」と、別の販売員の方を探しはじめます。ファーストアプローチをした販売員の方からすると売れなかったことになります。

このように、お客様が手にとった商品を話題にアプローチしてしまわれると接客セールスがうまくいかなくなります。売れない販売員の方の典型的なファーストアプローチです。

では、どんなファーストアプローチが売れるようになるのか?

圧倒的に売る販売員の方のファーストアプローチは、「自分の人柄を受け入れてもらう作業」という視点があります(トップセールス的に表現すると「自分を受け入れ『させる』作業」です)。すなわち、ファーストアプローチの目的はお客様に自分の人柄を受け入れてもらい、お客様の感情をほぐしにいくことになります。これができていなければお客様にセールストークが伝わりませんし、クロージングもうまくいきません。接客の入りでしくじると売れないのです。

圧倒的に売る販売員の方が、ファーストアプローチで狙っているのはただ1つ。お客様に「この販売員さんだったら話してもいいかも」と感じてもらうことです。したがいまして、商品の話題はあとにしていきます。圧倒的に売る販売員の方は、お客様が「販売員がどんな人柄か? それを確認できるまでは商品の話をしたくない(コミュニケーションをとりたくない)」と無意識に考えていることをよく理解されています。ですから、ファーストアプローチでは常に自分に関心をもたせることを意識されています。商品の話題については、お客様から話したいそぶりを見せられるまでは極力控えます。そうやってコミュニケーションをとることで、一貫性の原理がマイナスに働くことを避けておられるのです。そして、今日買いに来られているお客様は今日決断してもらい、今日買う予定になかったお客様はセールストークで惹き込んでいき、やはり今日決断させるのです。

圧倒的に売るためには、お客様が販売員に心を開いてくださっていることがなにより大切です。お客様に安心感がわいてこなければ買い物に集中できるわけはありません。安心感さえわいてくれば買い物に集中してくださるようになります。すると販売員のセールストークをしっかりと聞いてくださるようになります(理解しようとしてくださいます)。表現を変えると、あなたのセールストークがすんなりとお客様の頭の中に入っていくようになります。お客様がこのような心理状態になってこそ売れるのですね。

売るためのファーストアプローチは普通の会話をするイメージ。

圧倒的に売るためのファーストアプローチのコツは普通の会話をするイメージです。これができるようになるとお客様の感情をほぐせるようになります。そして安心感もわきやすくなります。普通の会話をするイメージですので、販売員側もリラックスした雰囲気が必要になります。お客様をお兄さんやお姉さん、弟や妹などをイメージされて会話をしていってもいいかもしれません(言葉遣いが馴れ馴れしくなりすぎることには気をつけなければなりませんが)。

そして繰り返しになりますが、ファーストアプローチでは具体的な商品の話題は避けるようにしましょう(商品以外の話題なら何でもかまいません)。ちなみに、私なら次のように声かけをします。お客様が歩いているときや商品に触れていないタイミングを見計らい、

「ご検討中ですか♪」

「いらっしゃいませ♪ 店内、何か気になるものございましたか♪」

「何かわかりづらいことなどございませんか♪」とファーストアプローチします(このとき「メラビアンの法則」を使うことが大前提です。メラビアンの法則についての解説はこちら→ メラビアンの法則。| 営業心理学)。

ぜひ、上の3つに返答されてみてください。具体的な商品の話はできません。返事としては「実は○○を探している」とか「えっ! あぁ……そうですねぇ」のように会話をしなければならないはずです。

※もしファーストアプローチをしたときに、お客様から「これの色違いありますか?」と特定の商品の話をされれば、そのまま商品の話をしてもかまいません。しかし、すぐに「何かお探しだったのですか♪」と、その商品から一旦離れ、入店目的やお客様情報をヒアリングするようにします。急ぎなのか、急いでいないのか? 情報収集をする過程であなたの人柄を伝えていきます。お客様がファーストアプローチ(声かけ)にあまりにも反応してこなければ、そもそも警戒心が高い状態か、買う気のないお客様になります。見極めは必要ですが、基本的にすぐに離れ、別のお客様に声をかけにいきます。

※来客数が少ない売場ではすぐに離れてはいけません。あとでその点についてご説明します。

大切なことですので繰り返しますが、圧倒的に売る販売員の方のファーストアプローチの目的は、「自分の人柄(明るさや活気など)をお客様に受け入れてもらう」です。お客様に自分を受け入れてもらうことに成功すれば、「この店員さんとなら話してもいいかも?」と思ってもらえますので、お客様の緊張や警戒心が安心感へと変わっていきます。するとお客様は心に秘めていたことを勝手に話しはじめてきますので、そこで情報収集をしてしまいます。

でも……ファーストアプローチでお客様が冷たく対応してきますが……?

実際の現場ではお客様が冷たい態度で対応してこられることのほうが多いですよね。「いや、別に……」と反応が悪いお客様もたくさん来店されます。この場合は「入店されるお客様は商品に関心が高いことを知っておく。| アパレル接客のコツ(3)」でご紹介させてもらったとおりです。お客様は何か理由があるので入店されています。すぐに離れずにニコニコしながらもう一回声をかけます。最低1回は質問してみます(要は見極め作業に入っていきます)。ここで販売員が逃げ腰になってしまえば、そこで接客は終わってしまいます。さすがに3回も質問をしてしまうと「この販売員はしつこくうっとうしい! もう話さない!」と強力な一貫性をもたせてしまうことになるので気をつけなければなりません。

見極めの結果「離れよう」と判断された場合は、あとで接客につけるように必ず「何かございましたら、私やスタッフにお声かけください♪」と言って離れます。そして、ここで絶対に「あぁ、はい」とお客様に言わせます。これが大切です。必ず「はい」と言わせなければなりません。なぜなら、お客様は「はい」と言うことで一貫性の原理に縛られるからです。これで「さっきの販売員以外で誰かいないかな」という心理状態にはなりません。むしろ「さっきの販売員はどこにいるかな……」となります。

お客様は必ず何か理由があるので入店されています。私たちが積極性を失ってしまってはいけません。もし、私たちが積極性を失ってしまえば、そのお客様はライバル店に流れ、そこでゴリゴリの販売員の方につかまり成約までもっていかれてしまいます。その危機意識もファーストアプローチの上達には欠かせません。

来客数の少ない売場なんですが……

来客数が少ない売場こそ、高いセールス力が必要になります。なぜなら、売り逃せないからです。売り逃してしまったら次のお客様がいつ来店されるのか……そんな環境のはずです。したがいまして、来客数が少ない売場ではお客様と人間関係を築く意識がとても大切になります。それは売るとか、売れないとかではなく「時間があるときには遊びに来てね。私はいつでもいるよ♪」とお客様に伝える作業です。

この場合は、逆にめちゃくちゃリラックスした雰囲気を出せるのが強みです。お客様に心地よい時間と空間を提供するようにします。したがいまして、BGMの音量、選曲のセンス、照明の強弱、商品展示の見せ方、そして店内の掃除を完璧にしておき清潔感を高めておく必要があります。常に売場をリラックスできる最高の状態にしておきます。

販売員の方は、基本的に仕入れ商品やマーケティング(集客)については何もできない立場です(例えば「来月は1,000万円の広告費をかけて集客増を目指そう!」という権限はないはずです)。したがいまして、今の売場の環境、今の商品で闘っていかなければなりません。ファーストアプローチではどんどん世間話も絡めながらアプローチしていきましょう。まずは仲良くなることに意識を集中させます。その後、売れそうなら絶対に売る。価格を下げてもいいなら価格を下げてでも売る(販促品を大量につけるなども効果的です)。検討段階なら名刺をお渡ししてお客様にも自分の名前を覚えてもらいます。そして、新商品の入荷情報を中心に「また来店したくなる情報」を添えて退店していただきます。

圧倒的に売る販売員のファーストアプローチ(声かけ)に対する考え方

実は、圧倒的に売る販売員の方はファーストアプローチ(声かけ)を文字通り「ファースト」と考えておられません。声かけ作業はファーストではなく「セカンドアプローチ」であると考えておられます。彼らの本当のファーストアプローチとは、「自分がお客様の視界に入った瞬間」と考えています。なぜなら、彼らはお客様が「販売員の立ち位置とその雰囲気も無意識にチェックしている」ということを知っているからです。したがいまして、彼らはお客様に声をかける前に「あの店員さんとなら話してもいいかも」と、お客様に選ばれるように意識をしています(いつもニコニコしながら掃除をしてみたり、お客様の視界にギリギリ入りそうなポジションに立っていたり)。彼らはファーストアプローチについてそのように考えておられます。したがいまして、圧倒的に売る販売員は、自宅での準備段階から意識が違います。

  1. ヘアスタイルや身だしなみをさわやかにする(黒は絶対に着ない)。
  2. 売場では猫背にならない(やる気がなさそう、自信がなさそうと見られるから。背筋は伸ばす)。
  3. 作業動作は速め(キビキビ感が大切。なぜなら、普通のスピードで作業しているとやる気がなさそうに見えてしまうから)。
  4. 声は大きく。同時に温かみのある声色にする(冷たそう、やる気がなさそうと思われないため。プライベートと同じトーンの声は出さない)。
  5. ニコニコしておく。自然な雰囲気で(「なんだか嫌な感じ……」と思われるので作り笑いはしない)。
  6. 「私はお客様の味方です」と、念じながら売場に立つ。

圧倒的に売る販売員の方々は、お客様を待っている段階からこのような意識を持たれています。お客様を自分にひき込んで売る気マンマンです。お客様から「この人と話してもいい」と感じてもらえさえすれば、あとは純粋にセールストークの質が勝負を分けるだけになります。

圧倒的に売る秘訣は「この店員さんとなら話してもいいかも」と思われること

本当にこれにつきます。ご紹介してきたとおり、売れるファーストアプローチは上記のような準備をすることとお客様が手にっといる(視線を送っている)商品の話題をさけること、そして「この店員さんとなら話してもいいかも」と感じてもらえるようにすることの3つがコツになります。

「この店員さんとなら話してもいいかも」と思われる人数が増えていくと、成約数もぐんぐん伸びていきます。ただ……もしかしたらあなたは「お客様に自分の人柄を伝える会話なんてできないんだけど……」と思われているかもしれません。「商品以外の話題でどうやってお客様と会話するのよ?」と思われているかもしれません。その場合は、あなたの本当の課題はファーストアプローチではありません。あなたの課題はお客様との「会話術」になります。

もし、あなたがお客様との会話に苦手意識をもたれているならこちら→ 売れてしまう会話術| アパレル接客のコツ(2)を参考にされてみてください。

長くなりました。以上が売れるファーストアプローチの基礎知識なります。ぜひ、このような知識を上手に使っていただき、さらにファーストアプローチに磨きをかけていっていただけたらと思います。そして、あなたが目標にされている数字を誰よりも早く達成させていっていただけたらと思います。あなたの誠実さ、さわやかさ、明るさ、商品に詳しそう、楽しそう、落ち着く、ドキドキする、元気が出る……などはリラックスされながら接客に入られれば自然とお客様には伝わります。そのようなあなたのポジティブなお人柄をお客様へ惜しみなく伝えていってみてくださればと思います。陰ながらではありますが、あなたのご活躍を心より応援しております。

以上、「ファーストアプローチ(声かけ)が上手くなるには? |接客販売の基本」でした。

一二 三四朗(ヒフ ミシロウ)でした。

ありがとうございました。

(もしこの記事が少しでも刺激になりましたら、いつでも読み返せるようにブックマークをお忘れないように気をつけていただけたらと思います)。

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