フットインザドア| 営業心理学

フットインザドアの驚きの効果

今回ご紹介させていただく社会心理学は、「フットインザドア」です(「一貫性の原理(いっかんせいのげんり)」とも呼ばれています)。

この消費者心理学をセールストークに組み込むだけで、成約率がグンッと上がります。

フット・イン・ザ・ドアとは?

フットインザドアとは、

「人は、他人から『小さなお願いごと』をされて、それを了承したあとに『大きなお願いごと』をされると、その大きなお願いごとにも了承してしまう心理が働く」というものです。

「小さなお願いごと」「大きなお願いごと」とは?

詳しくご説明します。

小さなお願いごととは、お願いされた側が負担に感じにくいもののことです。例えば食品スーパーで試食をすすめられる、ショップで店員さんに試着をすすめられる、などです。

大きなお願いごととは、お願いされた側が負担に感じるだろうものです。例えば「これ、買いませんか?」のように最初から交渉をもちかけられ、お金が減る痛みを想像させてしまうようなものです。

つまりフットインザドアとは、お客様に小さなお願いごとを了承してもらったあとに大きなお願いごとをして、その大きなお願いごとを了承してもらおうとする消費者心理学テクニックになります。

※ちなみに、最初から大きなお願いごとをされた人がそれを了承する確率はとても低く、実験では84%も断られたそうです。

→→ フットインザドアの詳しい実験データ

アパレル接客の「試着の効果」

このフットインザドアテクニックがこれでもかと使われているのがアパレル業界の現場です。したがいまして、ここではアパレル業界の接客を例にフットインザドアをもう少し具体的に説明していきたいと思います。

それでは次のことをイメージしていただけますでしょうか? あなたは新しくジャケットでも買おうかなと頭の中で思うようになりはじめています。そしてショップにふらりと入りました。するとさっそく素敵なジャケットが目に入ってきました。いいねいいねとあなたはジャケットを手にとり、どうやって着こなそうかなとイメージしています。

そんなときにあなたは店員さんに声をかけられます。「そのジャケットはお客様に似合われると思います。ジャケットをお探しだったのでしたらぜひいかかがですか? 今ならこの8階建てのファッションビルの開店10周年記念の関係で全商品が10%オフなんですよ♪」。

さて、あなたは店員さんにこう言われたからといって「それじゃあ、これお願いします♪」と買おうとされるでしょうか? まさに店員さんにいきなり大きなお願いをされました。あなたはおそらく断るのではないでしょうか?

しかし、このとき店員さんに「そでを通していただいたほうがよりイメージしやすいと思いますので、ぜひ実際に着てみて鏡でご確認ください♪ うちはほかのお客様も皆さんそっせんしてそうされてますので♪ (笑) ぜひどうぞ♪」と言われたらどうでしょうか? あなたは商品に関心があったので、おそらくそれならと試着されると思います。つまり店員さんの小さなお願いごとを了承してしまったことになります。そして試着して鏡の前に立ちます。このとき店員さんに「お客様が着られるとシルエットがとても綺麗ですね。似合ってらっしゃいます♪ ちなみに今ならこの8階建てのファッションビルの開店10周年記念の関係で全商品が10%オフなんですよ♪ ジャケットをお探しでしたら、これでお手持ちのアイテムと合わせて楽しんでみられませんか♪ 後ろ姿のシルエットもすごく良いですよ♪ ぜひ♪」と言われたらどうでしょうか? 試着したあとに大きなお願いをされました。

そうです、私たちはこのような状況になると、それじゃあこれにしますと店員さんの大きなお願いごとを了承しやすくなってしまいます。あなたがジャケットを購入してしまう確率はグンッと上がってしまうのです。

おそらくこのような経験は、あなたも今までの実生活でご体験済みだと思います。店員さんの「試着してみてください♪」を了承したあとの会話では、それを断ろうとするとなぜか気まずくなりますし、たしかに商品は悪くはないし……と自分で自分を買う方向へと説得しようとするようにもなります。多くの人がまったく同じような心理になることを経験されています。そしてそのまま購入されています。

※これは販売員の視点に立ってみると、試着を勧めずにクロージンをかけた場合は売れる確率が低くなるということです。アパレル販売員の方が読まれていたら、改めて試着の効果をうまく取り入れてみてください。

このフットインザドアテクニックは成約率を上げるための基本になります(これができているのに成約率が低いのなら「商品選定が悪い」「お客様の警戒心を解けていない=良いコミュニケーションがとれていない」などが原因だと思われます)。

一貫性の原理(いっかんせいのげんり)が働き、成約率が上がる

さて、ではなぜフットインザドアを使われた側は自分で自分を説得して「買っちゃおう」と、決断してしまうのでしょう?

その理由は、私たちが知らない他人と共に毎日社会生活している中で、「人は言っていることとやっていることが一貫していることが大切。そのような人は信頼できる」と無意識に感じているからです。もしあなたが言ってることとやってることが違っている他人を見たら、「この人は信用できない口だけの人か……」と考えるでしょう。私たちは、このように一貫性をもっていないと他人に信用してもらえないことを人生経験を通してよく理解しています。したがいまして、小さなお願いごとを了承したあとに大きなお願いごとをされると、無意識に他人から言ってることとやっていることがバラバラな人間だと思われたくない心理が働くのです。試着とはまさに自ら「この商品に関心がある」と宣言したようなものです。普通その商品に関心がなければ試着は断ります(例えば男性に「試着は無料ですのでこちらのスカートはいてみられませんか」と提案しても関心がないので100%断わられます)。

つまりその商品に関心があると店員さんに宣言したのに断ってしまうと、この店員さんに考えと行動がちぐはぐな人間だと思われると自己評価を落としたくない心理が勝手に働くわけです。そのタイミングで大きなお願いごと=クロージングをかけられることで「ジャケット欲しかったし……よし買おう!」と決断してしまいやすくなるのです。これがフットインザドアの効果になります。

あなたの営業トークにフットインザドアが盛り込まれていますか?

さて、あなたの営業トークにはフットインザドアは盛り込まれていますでしょうか? お客様に小さなお願いを受け入れてもらえる何かがありますか? そして、お客様に何かを宣言していただくトークが含まれていますでしょうか?

例えばこんな小さなことでも構いません。

「お客様♪ すぐに話を終わらせますので、私に最後までお付き合いお願いいたします」(←お客様がこれを受け入れてくだされば、私の話を聞くことを受け入れたことになります。しっかりと最後までセールストークを聞いてもらえます)。

「御社の大事な経費に責任をもたてるのは社長だけではありませんか?」(←これに社長が「そうだ」と答えれば、財務を良くすることに関心があると表明したことになります。そして社長だけ=他の人には相談しなくていいということを宣言したことになります)。これを社長に言ってもらえたあとにクロージングをかけていくと、上記の理由により成約できる確率が上がっていくのです。

小さなお願いごとが「準備されていない人」「準備されている人」では、本当に成約率が変わってきます。あなたの営業トークにはフットインザドアが盛り込まれてますでしょうか? もし、まだ盛り込まれていないようでしたら、ぜひ1度セールストークを改めて練り直してみてはいかがでしょうか。

以上、「フットインザドア| 営業心理学」でした。

一二 三四朗(ヒフ ミシロウ)でした。

ありがとうございました。

フットインザドアの実験データ(数字)を知っておかれると、よりパワーが増しますよ。

→→ フットインザドアの詳しい実験データ




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